1巻に収録のおはなし
第一話
鮭とごぼうの炊き込みご飯、豚肉とかぶの味噌汁、小松菜と厚揚げの煮びたし、大根とほたてのなます、卵とたけのことザーサイの中華風いため
筧史郎(シロさん・43歳)は小さな法律事務所の弁護士。毎日定時に退社し、スーパーで買い物をして夕食の支度をするのが日課。
同居する恋人の矢吹賢二(ケンジ・41歳)は美容師。気の良いのんびり屋で、倹約家のシロさんに無駄遣いを叱られている。
週に一度シロさんの母親が電話をかけてくる。親子関係は悪くないようだが、母の空回りな言動(息子がゲイであることに理解を示そうとしすぎる)に閉口することも多い。
第二話
ツナとトマトのぶっかけそうめん
シロさんとご近所の主婦・富永佳代子さんは、食材をシェアする買い物仲間。スーパーの店頭で初めて出会い、特売スイカを半分こするために佳代子さんの家に行くことに。そこで佳代子さんはシロさんにレイプされると誤解して叫びだし、焦ったシロさんは自分がゲイであることを告げる。無害認定されたシロさんは佳代子さんの家族にもゲイとして紹介されたのだった。
第三話
たけのことがんもとこんにゃくの煮物、菜の花のからし和え、かつおのたたき、春キャベツとわかめとあぶらげのみそ汁
美容師としての腕前は普通のケンジだが、癖のあるお客の相手をさせたら天下一品。ある日お客に口説かれそうになったケンジは、カジュアルにシロさんのことを話す。しかしそのことを知ったシロさんは、自分のことを他人に話されるのは嫌だと怒る。どうして一緒に暮らしてる人のことを話しちゃダメなのとケンジは泣くのだった。
第四話
いちごジャム
シロさん行きつけのパン屋さんは、シロさんの昔の彼女のお店。そのことを知るケンジは偵察に行き、彼女の感じの良さにヤキモチを募らせる。シロさんは、付き合ったのは彼女が昔はボーイッシュな子だったからだが、結局振られてホッとしたと言う。もしうまくやれてしまっていたら、体裁を繕うために妻子持ちになり、でも外に彼氏を作って、みんなを傷つけていただろうと話すのだった。
第五話
いわしの梅煮、トマトサラダ、キャベツとベーコンの煮びたし、いんげんとじゃがいものみそ汁、ごはん
健康診断の結果を受け取りに行ったシロさんは、昔の同級生と偶然再会する。大病をして健康志向になったという話を聞き、自分達もそういう年代だとしみじみするシロさんとケンジ。シロさんの料理おかげで体重がキープできているのかもと改めて気づくケンジだった。
第六話
ナスとトマトと豚肉のピリ辛中華風煮込み、オクラのみょうがとおかかあえ、水菜とえびの豆腐サラダ、
新人時代ホストクラブでバイトしていたケンジ。バイト仲間と共にNo.1ホスト宅へ誘われ行ったところ、実はそのホストがゲイだとわかる。貞操の危機を感じたバイト仲間はケンジを置いて逃げ出し、以来ずっとそのことを気に病んでいた。たまたま再会したケンジからNo.1ホストをおいしくいただいた話を聞かされ、数年来の胸のつかえを下ろすバイト仲間だった。
第七話
サンマの塩焼き、栗ごはん、ほうれん草のごまあえ、なめことみつばのみそ汁、きゅうりとなすのぬか漬け
仕事にやりがいを求めず定時に帰ることを重視しているシロさん。しかし実は面倒見が良いため日々相談が舞い込み、ケンジからは依頼人がいい男だったのではないかとやっかまれる。一年がかりの離婚訴訟(男性がDVの被害者)が成立し、喜ぶシロさん。ケンジはいつものヤキモチ。シロさんは今回の依頼人はけっこう好みだったと意地悪を言うのだった。
第八話
鶏肉のオーブン焼き、長ネギのジャーマンポテト、ブロッコリーの土佐ごまあえ、豆腐とわかめのみそ汁
母に呼ばれて実家に顔を出したシロさんは、ゲイの息子に理解を示そうとしすぎる母と、話が噛み合わない父にげんなりして帰ってくる。翌日佳代子さんに料理を教わりながら、我が子がゲイだと知って平静でいるのは簡単なことではないと聞かされる。その日の夕飯に習ったばかりのレシピをさっそく作り、出来上がった頃には気持ちがリセットされているシロさんだった。