小説「光の物語」第56話 〜出奔 4〜
出奔 4 「ナターリエ様は恋人を追って行かれたのでは?」 アルメリーアを囲んだ女官の一人が言う。 「ご両親のどちらとも不仲ならば、それが一番ありそうな行き先で…
フィギュアスケートや漫画のレビュー、創作小説など。好きなことをゆるゆると
出奔 4 「ナターリエ様は恋人を追って行かれたのでは?」 アルメリーアを囲んだ女官の一人が言う。 「ご両親のどちらとも不仲ならば、それが一番ありそうな行き先で…
出奔 3 「妃殿下・・・」 自室にいたアルメリーアのもとに、今にも泣き出しそうなクリスティーネがそっと訪ねてきた。 「まあ、クリスティーネ・・・なにかあったの…
出奔 2 「おい、驚くなよ」 マティアスはディアルの執務室に入るなりそう切り出した。 「何事だ?」 「ベーレンス伯爵だ。彼はどうやら妻子を見捨てることにしたら…
出奔 1 「それでどこへ行くの?」 「王立修道院へ・・・」 ディアルに意味ありげな目で見られ、アルメリーアはなんとなく居心地の悪い思いをする。 彼女は伯爵令嬢…
ハマっちゃったのよ 以前こちらの記事で書いた自作の連載小説。 noteで連載していましたが、このブログでも公開することにしました(こちらが先読み公開となります…
藤棚 温室のガラス越しに、ディアルがアルメリーアとキスしているのが見える。 そんな光景を見たいわけでもないマティアスは、温室に背を向けてディアルが出てくるのを…
胎動 11 何度目かのため息がもれる。 光あふれる温室で色とりどりの花を眺めながらも、アルメリーアの心は晴れなかった。 ナターリエの相手は良くない男だという。…
胎動 10 大広間の夜会でアルメリーアは社交をこなしていた。 ディアルは急な来客とかで少し遅れている。 夫がいてくれなければ美しく装ったかいもないが、物足りな…
胎動 9 ベーレンス夫人が退室した後、アルメリーアはふっと息をついて椅子の背にもたれかかった。 宮廷の風紀を守るのも自分の役目だが、厳しい言葉を告げるというの…
胎動 8 「ナターリエ!いったい何度同じことを言わせるの!本当にあなたはどうしようもないわね」 響き渡る怒鳴り声に、王城の廊下を歩いていたアルメリーアと侍女た…