光の物語

小説「光の物語」第43話 〜胎動2〜

胎動 2 「なんだか気もそぞろだな」 執務室のディアルをマティアスがからかう。 ディアルは先ほどから書類を手に取っては、数枚めくって放り出すのを繰り返していた…

光の物語

小説「光の物語」第42話 〜胎動1〜

胎動 1 厳しい寒さは緩み、春の気配を感じる季節になった。 王都を往来する人々も増え、あらゆる活動がふたたび活発になりはじめる。 「妃殿下、本日はよくお越しく…

光の物語

小説「光の物語」第41話 〜新年7〜

新年 7 「それで、ナターリエ嬢は少しは打ち解けたのかい?」ディアルは尋ねた。 「ええ。本のお話をするうちに少しずつ」 嬉しそうに話すアルメリーアにディアルも…

光の物語

小説「光の物語」第40話 〜新年6〜

新年 6 「ナターリエ、何をしているの!あなたという人はほんとうに・・・」 サロンへ移動しながら娘を叱りつけるベーレンス夫人の金切り声は、その場に居合わせたす…

光の物語

小説「光の物語」第39話 〜新年5〜

新年 5 「よい演説だったぞ、ディアル」 御前会議ののち、国王グスタフは息子をねぎらう。 「準備が整いしだい計画を実行に移すがよい。気運が高まっているうちにな…

光の物語

小説「光の物語」第38話 〜新年4〜

新年 4 「新たな道を作るのと並行して、他国からの侵略にも備える」 重臣たちと軍の部隊長たちを交えた御前会議の席で、ディアルは計画の全容を説明する。 「国境沿…

光の物語

小説「光の物語」第37話 〜新年 3〜

新年 3 「フランツ、しばらくだな」 王城に到着した砲兵隊長、フランツの挨拶にディアルが答える。 フランツは髭をたくわえた三十がらみの男で、十代の頃から砲兵隊…

光の物語

小説「光の物語」第36話 〜新年 2〜

新年 2 「殿下、ぼくお聞きしたいことがあります」 暖炉前で剣の手入れをするディアルに従者見習いのパトリックが言う。 「なんだ?」 刃先の様子を確認しながらデ…

光の物語

小説「光の物語」第35話 〜新年 1〜

新年 1 新しい年になり、社交真っ盛りだった王城の雰囲気も平時のものに戻りつつあった。 各地から任務を負った諸侯が上洛し、城は新たな国づくりにむけて活気づいて…

光の物語

番外編 雪の宵

雪の宵 「初めて会った時から私の子供が欲しかったって?」 何度か愛し合ったあと、アルメリーアの肩を撫でながらディアルは尋ねる。 目を開けると、彼女を抱き寄せた…