小説「光の物語」第43話 〜胎動2〜
胎動 2 「なんだか気もそぞろだな」 執務室のディアルをマティアスがからかう。 ディアルは先ほどから書類を手に取っては、数枚めくって放り出すのを繰り返していた…
フィギュアスケートや漫画のレビュー、創作小説など。好きなことをゆるゆると
胎動 2 「なんだか気もそぞろだな」 執務室のディアルをマティアスがからかう。 ディアルは先ほどから書類を手に取っては、数枚めくって放り出すのを繰り返していた…
胎動 1 厳しい寒さは緩み、春の気配を感じる季節になった。 王都を往来する人々も増え、あらゆる活動がふたたび活発になりはじめる。 「妃殿下、本日はよくお越しく…
新年 7 「それで、ナターリエ嬢は少しは打ち解けたのかい?」ディアルは尋ねた。 「ええ。本のお話をするうちに少しずつ」 嬉しそうに話すアルメリーアにディアルも…
新年 6 「ナターリエ、何をしているの!あなたという人はほんとうに・・・」 サロンへ移動しながら娘を叱りつけるベーレンス夫人の金切り声は、その場に居合わせたす…
新年 5 「よい演説だったぞ、ディアル」 御前会議ののち、国王グスタフは息子をねぎらう。 「準備が整いしだい計画を実行に移すがよい。気運が高まっているうちにな…
新年 4 「新たな道を作るのと並行して、他国からの侵略にも備える」 重臣たちと軍の部隊長たちを交えた御前会議の席で、ディアルは計画の全容を説明する。 「国境沿…
新年 3 「フランツ、しばらくだな」 王城に到着した砲兵隊長、フランツの挨拶にディアルが答える。 フランツは髭をたくわえた三十がらみの男で、十代の頃から砲兵隊…
新年 2 「殿下、ぼくお聞きしたいことがあります」 暖炉前で剣の手入れをするディアルに従者見習いのパトリックが言う。 「なんだ?」 刃先の様子を確認しながらデ…
新年 1 新しい年になり、社交真っ盛りだった王城の雰囲気も平時のものに戻りつつあった。 各地から任務を負った諸侯が上洛し、城は新たな国づくりにむけて活気づいて…
雪の宵 「初めて会った時から私の子供が欲しかったって?」 何度か愛し合ったあと、アルメリーアの肩を撫でながらディアルは尋ねる。 目を開けると、彼女を抱き寄せた…