光の物語

小説「光の物語」第15話 〜王城 1〜

王城 1 「エルガへの出動、大義であった」 ディアルの父である国王、グスタフが息子をねぎらう。 ディアルとアルメリーアが旅から戻ってまもなく、隣国ヴェルーニャ…

光の物語

小説「光の物語」第14話 〜春 6〜

旅の終わりを明日に控えた夕暮れ、二人は湖のほとりを歩きながら数日間の思い出にひたる。 同時に王城に待ち受けているたくさんの責務が徐々に現実味を帯びてくるのも感…

光の物語

小説「光の物語」第13話 〜春 5〜

「この詩集は母も好きでしたわ」 少し肌寒い午後、二人は暖炉に火を入れて城の図書室で過ごしていた。 「きみの母上はどんな方なの?リーア」 暖炉の前に並んで座る妻…

光の物語

小説「光の物語」第12話 〜春 4〜

旅先での日々は晴天続きだった。 丘へ遠乗りも湖畔でのピクニックも、すべてが夢のような時間だった。 何をするにも彼は彼女にペースを合わせ、気を配ってくれる。 い…

光の物語

小説「光の物語」第11話 〜春 3〜

湖の城は魅力に溢れていた。 王子夫妻の部屋のほかにも、歴代の王妃が使ってきた寝室や芸術品を配した回廊など、興味を引く場所は尽きなかった。 日中は時間をかけて湖…

光の物語

小説「光の物語」第10話 〜春 2〜

いくつもの塔を持つその城は湖の小島に建てられていた。 白く輝く城壁は湖に姿を映し、城を囲むように植えられた木立は風をはらんで枝を揺らしている。 「まあ、なんて…

光の物語

小説「光の物語」第9話 〜春 1〜

「湖のお城へ?」 「ああ」 二人は庭園の東屋にすわり、数日後からの旅について話し合う。 ローゼンベルク王室では新婚夫婦がその城へ旅するのがかねてからの慣例であ…

光の物語

小説「光の物語」第8話 〜婚礼 4〜

婚礼 4 アルメリーアは寝室の窓のそばに佇んでいた。 金色の長い髪を腰までたらし、やわらかな白い夜着に身をつつんだ姿にディアルは胸を高鳴らせた。 ドアを開けた…

光の物語

小説「光の物語」第7話 〜婚礼 3〜

婚礼 3 「いよいよ寝室で美しきスパイとご対面か」 「そんな言い方はよせ」 祝宴ののち自室に戻る王子をマティアスがからかう。 彼とは幼馴染で気心も知れているが…

光の物語

小説「光の物語」第6話 〜婚礼 2〜

婚礼 2 「麗しき王子と王子妃にもう一度乾杯!」 婚礼の祝宴は長々と続き、祝い酒に酔った出席者たちは止めどなく乾杯を繰り返した。 主役の王子妃夫妻にとって肩の…