小説「光の物語」第26話 〜降誕祭 3〜
「真冬までの調査、ご苦労だったな」 肩をたたいてねぎらうディアルにマティアスは苦笑いした。 「まったくだ、もう少しで雪山の露と消えるところだよ。しばらくは貴婦…
フィギュアスケートや漫画のレビュー、創作小説など。好きなことをゆるゆると
「真冬までの調査、ご苦労だったな」 肩をたたいてねぎらうディアルにマティアスは苦笑いした。 「まったくだ、もう少しで雪山の露と消えるところだよ。しばらくは貴婦…
「やはり新しい道にはこの経路がもっともふさわしいかと」 地図を前にしてマティアスが各地の状況を説明する。 彼が宮廷を離れていたのは国内に新たな道を作るための調…
降誕祭 1 降誕祭の季節になった。 社交のために王城を訪れる諸侯も増え、城は日に日に賑々しく華やかになってくる。 「妃殿下、あのかた素敵じゃありませんこと?」…
見習 4 「この間からちょっと元気がなかったんだよ」 夜、寝室でディアルにサロンでの出来事を話すと彼はそう言った。 「気にはかけてたんだが」 「ああ・・・」 …
見習 3 「まあ、パトリック?驚いたわ。そんなところでどうしたの?」 サロンのすみに隠れているパトリックに、置き忘れた扇を取りにきたアルメリーアは声をかけた。…
見習 2 雪の降り積もる頃になった。 しかし、王城に集う少女たちには寒さも関係ないようだ。 相変わらず友人同士で話に花を咲かせては、よく響く笑い声を上げていた…
暖炉に火を入れる季節になった。 厳しい冬の始まりだが、王城のなかは明るく華やいでいた。 その中心にいるのは若く美しい王子夫妻と、その宮廷に新しく加わった見習い…
アルメリーアはひとりバルコニーに出て、午後の最後の日差しを浴びる。 外の空気を吸うと、謁見の間に重くなった心が少し晴れる気がした。 眼下に広がる王城の庭を眺め…
王城 4 謁見に来た夫人たちはみな、なんらかの便宜を望んでいるか、なにかに腹を立てているかだった。 また、娘を持つ母親は宮廷内をうろつく誘惑者のことも噂した。…
王城 3 軍務こそ一段落したものの、謁見をしたり進講を受けたりと公務は日々絶え間がなかった。 他国から嫁いできたアルメリーアはローゼンベルク宮廷のやり方に慣れ…