小説「光の物語」第28話 〜降誕祭 5〜

降誕祭 5 一人掛けの椅子に座ったマティアスが笑みを浮かべた。 「殿下は相変わらずお忙しそうだ」 「ええ。でもマティアス様も・・・何か月も大変なお仕事をされて…

小説「光の物語」第27話 〜降誕祭 4〜

貴婦人たちが笑いさざめくサロンに戻る。 アルメリーアは奥のソファにかけており、その横には見習いのパトリック少年がちんまり座り、何かを書いていた。 ディアルとマ…

小説「光の物語」第26話 〜降誕祭 3〜

「真冬までの調査、ご苦労だったな」 肩をたたいてねぎらうディアルにマティアスは苦笑いした。 「まったくだ、もう少しで雪山の露と消えるところだよ。しばらくは貴婦…

小説「光の物語」第25話 〜降誕祭 2〜

「やはり新しい道にはこの経路がもっともふさわしいかと」 地図を前にしてマティアスが各地の状況を説明する。 彼が宮廷を離れていたのは国内に新たな道を作るための調…

小説「光の物語」第24話 〜降誕祭 1〜

降誕祭 1 降誕祭の季節になった。 社交のために王城を訪れる諸侯も増え、城は日に日に賑々しく華やかになってくる。 「妃殿下、あのかた素敵じゃありませんこと?」…

小説「光の物語」第23話 〜見習 4〜

見習 4 「この間からちょっと元気がなかったんだよ」 夜、寝室でディアルにサロンでの出来事を話すと彼はそう言った。 「気にはかけてたんだが」 「ああ・・・」 …

小説「光の物語」第22話 〜見習 3〜

見習 3 「まあ、パトリック?驚いたわ。そんなところでどうしたの?」 サロンのすみに隠れているパトリックに、置き忘れた扇を取りにきたアルメリーアは声をかけた。…

小説「光の物語」第21話 〜見習 2〜

見習 2 雪の降り積もる頃になった。 しかし、王城に集う少女たちには寒さも関係ないようだ。 相変わらず友人同士で話に花を咲かせては、よく響く笑い声を上げていた…

小説「光の物語」第20話 〜見習 1〜

暖炉に火を入れる季節になった。 厳しい冬の始まりだが、王城のなかは明るく華やいでいた。 その中心にいるのは若く美しい王子夫妻と、その宮廷に新しく加わった見習い…

小説「光の物語」第19話 〜王城 5〜

アルメリーアはひとりバルコニーに出て、午後の最後の日差しを浴びる。 外の空気を吸うと、謁見の間に重くなった心が少し晴れる気がした。 眼下に広がる王城の庭を眺め…