小説「光の物語」第64話 〜悲報 4〜
悲報 4 嘆きのうちに時間は過ぎた。 王子妃とアーベルがつききりで慰めてくれていたが、ナターリエはただただ混乱していた。 自分が伯爵家の後継ぎとなり、ふさわし…
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悲報 4 嘆きのうちに時間は過ぎた。 王子妃とアーベルがつききりで慰めてくれていたが、ナターリエはただただ混乱していた。 自分が伯爵家の後継ぎとなり、ふさわし…
悲報 3 「ナターリエ嬢・・・」 王立修道院に訪れたアルメリーアは、ナターリエの元気な姿を見て安堵の笑みを浮かべた。 むしろ王城にいたときよりも落ち着いて、顔…
悲報 2 「ナターリエ様、明日は王子ご夫妻がこちらへお見えになりますよ」 「お二人がここへ・・・?」 アーベルからの知らせはナターリエにとって思いもかけないこ…
悲報 1 数日後に届いた知らせは悲惨なものだった。 王城を抜け出したベーレンス夫人は領地の城に戻り、夫のベーレンス伯爵とその愛人、そして愛人が産んだばかりの息…
出奔 8 「ベーレンス夫人はどんな様子だって?」 寝台に入りながらディアルが尋ねる。 「いちど目を覚ました時にナターリエ嬢がいないのに気付いて、女官から家出の…
出奔 7 マティアスは部下たちにナターリエの捜索を命じた。 アルメリーアから聞いたナターリエの特徴を伝え、めぼしい場所へと彼らを向かわせる。 当のマティアスは…
出奔 6 ベーレンス夫人を侍医にまかせ、アルメリーアはマティアスと話すことにした。 「なんということを・・・婚姻無効とは」 「ええ。あんな話が認められたら夫人…
出奔 5 「まあ、マティアス様・・・」 ベーレンス夫人の部屋の前で、アルメリーアと女官たちはマティアスにばったり出会った。 「何かありま…
出奔 4 「ナターリエ様は恋人を追って行かれたのでは?」 アルメリーアを囲んだ女官の一人が言う。 「ご両親のどちらとも不仲ならば、それが一番ありそうな行き先で…
出奔 3 「妃殿下・・・」 自室にいたアルメリーアのもとに、今にも泣き出しそうなクリスティーネがそっと訪ねてきた。 「まあ、クリスティーネ・・・なにかあったの…