小説「光の物語」第16話 〜王城 2〜
王城 2 「姫様、殿下が城にお戻りになりましたよ」 その知らせにアルメリーアは思わず椅子から立ち上がる。 昨日の早馬が今日の帰城を知らせてきて以来、彼女はそわ…
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王城 2 「姫様、殿下が城にお戻りになりましたよ」 その知らせにアルメリーアは思わず椅子から立ち上がる。 昨日の早馬が今日の帰城を知らせてきて以来、彼女はそわ…
王城 1 「エルガへの出動、大義であった」 ディアルの父である国王、グスタフが息子をねぎらう。 ディアルとアルメリーアが旅から戻ってまもなく、隣国ヴェルーニャ…
旅の終わりを明日に控えた夕暮れ、二人は湖のほとりを歩きながら数日間の思い出にひたる。 同時に王城に待ち受けているたくさんの責務が徐々に現実味を帯びてくるのも感…
「この詩集は母も好きでしたわ」 少し肌寒い午後、二人は暖炉に火を入れて城の図書室で過ごしていた。 「きみの母上はどんな方なの?リーア」 暖炉の前に並んで座る妻…
旅先での日々は晴天続きだった。 丘へ遠乗りも湖畔でのピクニックも、すべてが夢のような時間だった。 何をするにも彼は彼女にペースを合わせ、気を配ってくれる。 い…
湖の城は魅力に溢れていた。 王子夫妻の部屋のほかにも、歴代の王妃が使ってきた寝室や芸術品を配した回廊など、興味を引く場所は尽きなかった。 日中は時間をかけて湖…
いくつもの塔を持つその城は湖の小島に建てられていた。 白く輝く城壁は湖に姿を映し、城を囲むように植えられた木立は風をはらんで枝を揺らしている。 「まあ、なんて…
「湖のお城へ?」 「ああ」 二人は庭園の東屋にすわり、数日後からの旅について話し合う。 ローゼンベルク王室では新婚夫婦がその城へ旅するのがかねてからの慣例であ…
婚礼 4 アルメリーアは寝室の窓のそばに佇んでいた。 金色の長い髪を腰までたらし、やわらかな白い夜着に身をつつんだ姿にディアルは胸を高鳴らせた。 ドアを開けた…
婚礼 3 「いよいよ寝室で美しきスパイとご対面か」 「そんな言い方はよせ」 祝宴ののち自室に戻る王子をマティアスがからかう。 彼とは幼馴染で気心も知れているが…