2巻に収録のおはなし
2巻はシロさんとケンジのなれそめや、食材の使い回し、体型維持に気を遣う様子などが語られます。シロさんもケンジも、周りの人物に振り回されて消耗していることも。またシロさんの父が癌で手術することになるなど、歳を重ねると出てくる課題なども印象的でした。
第9話
<クリスマスメニュー>ほうれん草入りのラザニヤ、明太子サワークリームディップとバゲット、鶏肉の香草パン粉焼き、ツナサラダ
シロさんとケンジの出会いは3年前。シロさんが当時の彼氏と訪れたゲイバーで初めて出会い、その後ケンジの働く美容室で客と美容師として再会。数回デートを重ねたころに大雨でケンジの自宅が床上浸水し、行くあてのない彼にシロさんは勇気を振り絞って同居を持ちかける。ケンジが初めてシロさんの家に来た日に作ってくれたメニューは、それ以来二人のクリスマスの定番メニューになっているのだった。
第10話
<1日目>厚揚げとニラとキャベツと豚ひき肉のみそ炒め、白菜のゆずびたし、わかめスープ
<2日目>ぶり大根、厚揚げのみそはさみ焼き、にらのおひたし、三ツ葉入りかきたま汁
特売の厚揚げとにらを買い、その日のメニューを組み上げたシロさん。しかし足の速い食材なので残りも早めに使い切らなければならない。翌日は安売りでブリのアラをゲットし、昨日の残りと合わせて良いメニューが作れると興奮。ケンジの帰宅に合わせた料理の時間配分もバッチリ決まり、充実の食卓に。さらにその翌日も自宅にある食材のくりまわし方を電車の中で考え、けっこう楽しんでいるシロさんだった。
第11話
さくらますの西京焼き、アスパラガスのからしマヨネーズあえ、切り干し大根、キャベツといり卵のいためもの、たまねぎと新じゃがのみそ汁
セロリの残りをダメにしてしまったと朝から落ち込んでいたシロさん。その日の依頼人は離れて暮らす子供会いたさに夜中に元夫の自宅に押しかけてしまった女性。月に一度物陰から子供を見守るだけでいいという提案にも元夫は首を縦に振らない。売り言葉に買い言葉で自分も連れ沿うと言ってしまい、貴重な休みが毎月潰れるとさらに落ち込むのだった。
第12話
セロリと牛肉のオイスターソースいため、ポテトサラダ、なっとう、トマトとオクラと卵の中華スープ
残ったセロリの使い道に悩むシロさん。事務所の事務員・志乃さんが洋食屋の娘さんと知り、セロリ消費のレシピを教えてもらう。毎日がっつり食べても全く太らない志乃さんに理不尽なものを感じていたシロさんだが、彼女がまだ二十歳そこそこだと知り、チーママぽい外見とのギャップに驚くのだった。
第13話
なすとピーマンと豚肉のみそいため、にんじんとセロリのかりかりじゃこサラダ、たまねぎ、みょうが、おかかの冷ややっこ、とろろ昆布の吸い物
ケンジから友人の愚痴を聞かされてあまりのおかしな話にキレたシロさんだが、ただ黙って聞いて欲しかっただけだと言われてしまう。その友人と付き合いを続けているケンジを不思議に思うシロさんだが、仕事なら身の上話を長時間聞かされてもイライラすることはないのだった。
第14話
かぼちゃと豚肉のカレーうどん、いんげんとちくわのサラダ
昔シロさんが同棲していた恋人は好みのタイプだが思いやりがなく、洗濯機の排水溝が溢れても何もしないばかりか、明日着ていく服をきれいにしておけと文句を言う有様だった。その頃と同じデザートをケンジと食べながら、好みのタイプではないが優しい彼と出会えてよかったと思うのだった。
第15話
生鮭のみそホイル焼き、かぶの葉のにんにくベーコンいため、かぶの酢のもの、けんちん汁
シロさんの父親が食道癌で手術することに。できることがあるか聞くケンジに大丈夫だと答えるシロさん。父の手術に付き添うためスケジュールを調整したり、佳代子さんと親の病気について話す。その夜の夕食時に、もし父のことで何かあった時には話を聞いてもらってもいいかとケンジに頼むシロさんだった。
第16話
肉じゃが、ほうれん草のおひたし、大根とホタテのサラダ、とうふとわかめのみそ汁、鮭とごぼうと舞茸の炊き込みごはん
父の手術の前日、2日分の食事を作り置きするシロさん。手術の進行を待つ間に定期的に取り乱す母親にぐったりしながらも、母が父を大好きだとわかって驚くシロさん。手術は長くかかるが無事成功し、帰宅したシロさんの様子を見てそれを察したケンジも安心するのだった。
感想
1巻よりさらに掘り下げてシロさんとケンジの人物像が描かれます。いまは良い感じでケンジと付き合っているシロさんも、昔は惚れた弱みで振り回されていたり、ケンジは友人の思いもよらない態度に混乱していたり。こういうことってあるよね〜というエピソードを淡々と描いて、人物造形が深まっていく様子はとても魅力的です。