【映画レビュー】村上春樹原作『ドライブ・マイ・カー』鑑賞。多国籍の出演者で村上ワールド炸裂!!

【映画レビュー】村上春樹原作『ドライブ・マイ・カー』鑑賞。多国籍の出演者で村上ワールド炸裂!!

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ドライブ・マイ・カーを観た!

アマゾンプライムで見放題になっていたのをキッカケに、今回初めて観ました。
村上春樹さんの原作で、アカデミー国際長編映画賞を受賞したことでも知られている作品です。

アマゾンプライムで見られるのはインターナショナル版でした。
2時間58分と結構長い・・・最後まで観られるかしらん?

でも以前原作を読んだこともあったしと思い(内容はほとんど覚えてませんでしたが)、とりあえずチャレンジしてみました。


ストーリーとダイジェストな感想(ネタバレ有)

あらすじはこんな感じ(アマゾンのサイトより引用)。

舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去を抱える寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。悲しみと“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。

てなわけで・・・ここから先はネタバレありです。
















●主人公の家福は出張のフライトがキャンセルになって予定外に帰宅、その際に音のガッツリな浮気現場を目撃。
しかし何も言わずその場を後にする。
その夜の音との電話でも何事もなかったかのように会話を続ける。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工・・・家福さん・・・(´д`)。


●二人の間には幼くして亡くなった娘がいたが、その後に子供を持たなかったことを後悔しているかと音に聞かれる家福。
家福はその問いに「あの子の代わりはいないし、きみと一緒に選んだこと」と答える。
「あなたのことが本当に大好き、あなたでよかった」と言う音。
仲の良い夫婦の切ない会話のようだが、実はこのシーンにも二人の関係性が表れているのだろうか・・・(´д`)。


●音が病気で急逝した2年後、家福が演出家を務める舞台のオーディションに音の浮気相手・高槻が現れる!
落とせばいいのに採用する家福。しかも主役で・・・なんでやねん😅
ちなみに高槻はスキャンダルで事務所を退社になっていたり、家福と飲んでいる間にも一般人と揉めたりと不穏な様子・・・。


●セリフ合わせで役者たちにあえてセリフを棒読みさせる家福。とくに高槻へのダメ出し多し。
最初は高槻への嫌がらせかと思ったが、後の展開を見るとそういうわけでもないのか・・・しかし眠くなりそうな稽古だ😅


●多国籍の役者による多言語の舞台を演出する家福。
この舞台って観る側にとっては面白いのかなあという素朴な疑問が少々😅
斬新だなとは思うけど・・・😅



●韓国手話の女優さんの夫は映画祭の関係者だった!だから手話がわかったのね〜(二人とも韓国人)。
少々驚きですが、コネで役をとったわけでもないしまあいいのか。
女優さんは元ダンサー。流産した後はダンスに戻ろうとしても戻れなかったが、舞台に挑戦して体が動きだしたと話す。
音を失った後の家福とリンクする設定。

こちらはほっこり仲良しオーラな夫婦です。
二人の住んでる家も犬もかわいい・・・ただ、この犬ってラストに出てくる犬と同じ?一体どういうこと???


●車で行き来するシーンでは音の残したセリフ覚え用のテープをいつもかけている家福。
舞台には立たないのだが・・・これは役者に復帰したい葛藤の表れなのか?
(2年前に音が亡くなった後の舞台では、家福はまったく役に入れず苦悩していた)


●家福と高槻の語り、長っ!!
車の中で、家福が突然に音との生活をめちゃくちゃ赤裸々に高槻に語り出し、それを受けた高槻もありえないくらいの長セリフで応答。
うーむ長い・・・よくセリフ覚えたな😅
寡黙なドライバーみさきもこの後のシーンでは結構しゃべります。彼女と家福が車内でタバコを吸うシーンなんて好きです。
(これまでは二人とも車内では吸わなかった。またこれ以降、車の中でセリフのテープはかけられなくなる。ターニングポイントになるシーン)


●高槻くんには休養が必要だったと思う・・・💧
後先考えぬ行動やすぐにキレる様子、運転中に追突事故(被害は軽微)を起こすなどの様子を見ると、スキャンダル後に謹慎の体でガッツリ休養できればよかったのにな〜なんて思ってしまった。
最終的に彼の不安定さは取り返しのつかない結果を招いてしまうことに・・・。

ようやく演技が乗ってきたところだったのに・・・というより、いろんな出来事や家福との語りの後だからこそ生まれた演技だったのか?
家福の揺るがぬ否認の代償に音や高槻が滅んだようでもあり・・・うっすら怖くなります。


●終盤に家福とみさきは彼女の故郷まで車で行きますが、広島から北海道まで車で行くとどれくらい?と観ていてものすごく気になってしまった😅
仮に行き先を中標津としてGoogleマップで調べると30時間でした。

遠い・・・(笑)

ちなみに家福には、映画祭を中止するか舞台に復帰するかを2日以内に決めるというミッションがありましたが・・・ギリギリ間に合うか?スムーズにフェリーに乗れれば・・・😅



●北海道でそれぞれが抱えるものを吐き出した家福とみさき。
その後、家福は舞台に復帰して映画祭は成功。

・・・で、突然場面は韓国に移ります。

スーパーで買い物して家福の車(韓国ナンバーになってる)に乗り、後部座席で待っていた犬に微笑みかけるみさき。
以前よりも幸せそうな彼女が車を運転しているところで映画は終わるのですが・・・・・・。


え?
どゆこと?
なんで韓国に???


考えられるのは家福の仕事の都合(家福の車だし)。
二人は夫婦か恋人になって一緒に韓国で住んでるのか?(買い物に車を使ってるし)
でも乗ってる犬は、広島で出会った韓国人夫婦の家にいた子では?
彼らの犬をもらった?それとも違う犬???


なんだかさっぱりわからない終わり方でした・・・。
これはあれか?あえて観るものに謎を残すとか、そういうのか??
日本のスーパーで買い物してるだけなら、二人はくっついてそれなりに幸せなのね〜と思うところですが・・・。


これが芸術ってことなんですかねえ・・・?
しかしラストで「え?」になっちゃうと、物語の中で描いてきたことの印象が薄れるというか・・・個人的にはちょっと残念😅
変に謎なエンドよりは、舞台を終えた家福がみさきの運転で夜道を帰路につく、くらいの方がよかったな〜😅

まあ村上作品だし、きっとこれが芸術ってことなんでしょう・・・(アバウトなまとめ)


共通する端正な世界観

個人的に、村上作品には「都会に住む主人公のきちんとした生活」というイメージがあります。
この映画でもその様子は健在で、家福の家、車、それに彼の車が走る道路も、塵一つなくキレイに片付いています。
東京から広島に舞台が移ってもそれは変わりません。
キレイに整備された塵一つない道。


こうした描写も村上作品の魅力の一つと感じている私としては、車が街を走るシーンを見るのも楽しかったです🚗


しかしこれは、後に家福とみさきが一緒に北海道の上十二滝村に向かうシーンとの対比なのかも。
道中で二人が通るのは地方の古い道路にフェリー、最後は雪の積もる道なき道。
その道の果てにようやく家福は自分自身と向き合い、演じる力を取り戻すのです。


もしかして・・・もやしっ子はいかんよ〜てのがこの作品のテーマなんかな?!😆(絶対違う)


ちなみに十二滝村とは他の村上作品(羊をめぐる冒険)に出てくる架空の村の名です。
読んだことある人はおおっ!となりますよね😄


セリフ回しの雰囲気も含め、村上ワールドにはバッチリ浸れる一本です🎬